Convention

「水の都中之島の会議室に飾る作品を探している」
ある日の展示会場で、来場者の言葉からそんな言葉を聞いてから制作した作品です。
ーーーどんな作家の、どんな作品かはまだ決めていない、でも「会議室」に似合う一枚を探しているーーー
その言葉を聞いた時は、私はまだ候補作家の一人でした。
選ばれなくても挑戦してみたい議題だと思って、勝手に筆をとった2年前の作品です。
良い会議、とはどんな会議だろうか、とキャンバスの前で小一時間ほど悩んで、浮かんだ風景がこの絵になります。
社会人として働いていると、時々発生する会議。
会議がテンポ良く進む、楽しくなる会議の時、私は何を捉えていたかを振り返ってみました。
まず、遠くまで、未来の朧げなビジョンが見えていること。根幹がわかっていること。
それがメンバー全員と共用できていること。
風雲の隙間を飛ぶ鳥のように空高く俯瞰から、そして海底生物が水底から天を見上げるような、希望を持った議題であること。
風にも波にも逆らわず、優雅に泳ぐような会話ができること。
多くの言葉が飛び交い、絡み合う議題が細部まで過不足なく拾われて、最後には収束することーーー

私は「会議室」で会議することなどほぼ無い職場しか経験してきませんでしたが、私の絵が飾られる会議室は、多くのアイデアが披露され、揉まれ、ブラッシュアップして、次のステップへ進む、そんな充足感のある時間が過ごせる場所でありたい。
そんなぼんやりとした願いを抱きながら描き、2年越しの今回、このコングレコンベンションセンターに展示する機会を得ることができました。

私の作品は、基本的には言葉になる前の心の中の印象を描いたものであり、この作品も同様に、明確な言葉を持たない一枚です。「会議」について考えて、会議室に飾るために描いたから「Convention」と名付けましたが、この作品が皆様にとって海に見えるなら海でいいし、山に見えるなら山でいいし、宇宙に見えるなら宇宙で良いとも思っております。
多様なアイデアは否定されるためではなく、世界を広げ、新たなステージを創造するために持ち寄られるものであるべきでしょう。
会場をご利用される皆様の大切な時間が、凝り固ることなく、エキサイティングで多くの発見に溢れたものになりますように。
ご高覧、ご拝読、ありがとうございました。

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P100号キャンバス（H1620mm×W1120mm）3枚連作（展示時W3360mm)
アクリル絵の具・ミクストメディア（ペベオ社）
裏に展示用金具（耐荷重30Kg）・紐付き
（壁面用金具もしくはピクチャーレール等は別途お客様でご用意ください）
※専用箱・額縁はありません。
※最新画集１冊付き

2023年アンノウンアジア（Inグランフロント大阪）出品メガネスーパー賞受賞作