響く

隣に展示中の「轟く」と対になるように描いた一枚です。
私はキラキラピカピカしたものが大好きな人間で、大学をガラス造形専攻で卒業しました。本音としては大学を出てもガラスをしたい
と思っていましたが、自宅でガラス造形を続けるのは大きなハードルがいくつもあり、卒業後はほぼ挫折状態になりました。
私は創作で何をしたいのか、何を表現したいのか、どんな方法なら実現可能か、と色々と試行錯誤してきた結果、現在の「キラキラピ
カピカした発色がガラスや金属に間違われるけど、実は絵の具で描いてるだけ」の制作スタイルに落ち着いた、という経緯がありま
す。ガラスのように透過する光は無理でも、せめて反射する光だけはガラスのように、むしろガラスよりもずっと全力で捕まえ
られるように、を技術的には強く意識して制作をしています。
メタリックカラーの絵の具をより強く発色させる方法として、背景を黒に一度塗りつぶす、と言う方法を私は好んで制作してきたた
め、今作のような白、パールホワイトを基調に描けるようになったのは、実はこの作品を描いた 2023 年から。「響く」は東京都美術
館で開催されている全国公募展に、その年の最も自分が成長を感じる一枚として出品し、ありがたくも「選抜作家賞」を受賞した
作品になります。審査員の心に響いたのかな、と当時はとても喜びました。
そんな一枚を当展覧会出品作として選んだ理由は、この会場が「会議室」だからです。会議室とは新しい企画やアイデアを伝えるた
め、またそれに出会うために多くの人が集まる場所とも言えるでしょう。特にプレゼンテーターはとても熱い気持ちを持って会議に臨
むはず。私は、キャンバスの前で制作に挑み、そして発表を繰り返す自分と、会議のプレゼンテーターの立ち位置はとても近
しいように思っております。プレゼンテーターの熱い気持ちが聴講者に響くことをこの一枚で応援できれば、と思った次第です。
皆様の当会議室での時間が実りあるものでありますように。
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F100号キャンバス（H1620mm×W1３03mm）
アクリル絵の具・ミクストメディア（ペベオ社）
裏に展示用金具（耐荷重30Kg）・紐付き
（壁面用金具もしくはピクチャーレール等は別途お客様でご用意ください）
※専用箱・額縁はありません。
※最新画集１冊付き

2023年近代日本美術協会展（In東京都美術館）選抜作家賞受賞作